MONOにこだわる
2014年8月25日ジッポとけむり
たばこを吸う人も吸わない人も、野外活動の中で火は必要である
僕は煙草を吸うのでいつも持ち歩いている
ZIPPOのオイル、ライター強風下でも、マイナス30Cの寒さの中でも着火性能はナンバーワン
おまけにオリジナルオイルが無いときも自動車のガソリンでもOKである
ただしススが少し出るのと匂いがする程度だ
米軍用に開発されたものだから当然と言えば当然
信頼できるMONOだ。・・・でも或るときふっと蒸発してしまう
これは、淋しい、かなしい、あの川にもあの海にも
そして山にも一緒だったそのときの思い出が、親指が覚えている
キャンプのマキに火をつけるのもジッポだし
その焚き火をかこみ食後のコーヒー一服の煙草
暗闇ポケットに手突っ込みジッポを取り出して着火すると
まわりはぼんやりと揺れて足下の明かりに、と・・・しかしまるで煙のように消えてしまう。
幼い頃僕の父もZIPPOのオイル、ライターを持っていた。
「これは戦後シンガポールで捕虜になったとき英国の
兵隊からもらった物だよ。」と懐かしそうにライターを膝で
こすって光らしていた、いま僕の持っているのとおなじで
真鍮製でこするほどよく金色に光るのだ昭和20年代は
物資もあまり無く父と犬とでよく山へタキギ取りにいった
その頃まだ田舎だった故郷の町は1時間も歩けば
山のなかだったタキギ取りは我が家では大切な仕事であり、
風呂や釜戸の燃料である。
山に入ると手分けしてタキギを集める父が背負う丁度いい長さ
にナタで切る。犬は走り回る。昼になると握り飯を食う
谷川の水を飲むそして煙草を一服 しんせい(今でもあるのかナ)
を旨そうにすう。 その手の中のZIPPOは太陽をうけてキラキラ
光り輝いていたっけ。 そんなライターも父が死んでから幾ら
探しても消えてしまった。
何代も変わって今愛用しているライターはやはり brass 製で
S T A T U E . O F . L I B E R T Y と刻印してあり、自由の女神 の全体像が彫ってある
もう2年も使っている、すっかりと角なんかが丸くなってきた
・・・よく森や河辺の散歩道で首から双眼鏡をさげて自然観察しているウォッチャーがいる
時折立ち止りパイプに火をつける、ゆるゆると煙をゆるがせ目をほそめる人
手の中にあるライターはZIPPOと思いたい