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ナチュラリストクラブブログ

FLY FISHER(フライ・フイッシャー)

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この忘我、狂気の世界 けっして
人には、勧めててはならない・ゲーム

 

フライ、フィッシングのフライは、辞書を、ひもとくと、「ハエ」とある

しかしこの世界ではフライと言うと、魚の棲む川に同居し、その餌となる水生昆虫全体を総称する言葉になっている

カゲロウ、トビゲラ、ユリスカ、がその主なるものだが、アリ、バッタ、コオロギなどの陸生昆虫もふくまれる

 

水生昆虫は幼虫時を川底で過ごし、時がくると水面にのぼって羽を乾かし、

成虫となって空中をとび、やがて卵をだいて又水中に帰りそれを産み落とす

 

フライフイッシングの対象となる魚たち、主にサケ科に属する川の魚たちは、

子の小さな昆虫を常食として生きていく、虫の生存にあわせて、魚たちの生命のサイクルが形成されている

虫は魚たちの生存を助け、魚は人の精神を助ける

 

釣り人をたちまち熱狂のるつぼに引き込んでいく

 

もうひとつの誘引が、このフライすなわち昆虫の生態の妙、そして虫と魚との生命連鎖の玄妙にあるように思う

 

この昆虫を模して、釣り人は擬似の毛バリを巻く

水底の幼虫、水面の幼虫、それぞれの形態をまねるのだが、

この真似るということの意味の広さが、釣り人の意識を四六時中、釣りの世界にのめり込ませる元凶なのだ

 

色、寸法、そして形態

それさえしっかりと模倣すれば事足りるかと言うと、どうもそれだけではない

 

それで十分と言うのであれば話は簡単で、合成樹脂で型抜きしたものでも精巧でいいような物だが

頭の良い鱒、自己の生存のために細心の注意を払う鱒は、そうしたあやふやな餌には騙されてはくれない

 

例えば、トビゲラ

日本の渓流を代表する、この小さな水生昆虫が水面に駆け上る姿は劇的である

水底の岩間で幼虫期を過ごした後、蛹となって成虫への準備に入り、

やがてその繭を食い破って水中に踊りだし、未だ畳まれたままの羽を胸部の両脇の納め、

前脚を駆って、水面へ泳ぎ昇る時、その体はガスをはらんだ気泡に包まれ、

その泡の一つ一つは、水膜を通してさしこんでくる陽光をうけて虹色に光り輝く

気泡を引き連れ、後に残しながら虫は懸命に水面を目指すのだ

 

合成樹脂で、色も、形も、大きさも全く同じ物を作り得たとしても

この気泡の蓄えまではその力は及ばない、釣り人の腐心はこの気泡にある

 

大事なのは人の目で見てそっくりなのではなく、

水中の鱒の目から見て以下に本物らしい印象を与えるか、ということだ

 

毛バリの材質は、特別の交配の中から育て上げた鶏の、首筋や背の羽、

それと羊、鹿をはじめとする飼育獣の毛が使われる

鳥獣の羽毛はそれ自体、精緻な仕掛けを持っていて、空気を保持する能力を持っている

気泡を重視する毛バリには、うってつけのマテリアルなのだ

 

細心の注意を払って釣り人は、毛バリを巻く、夜ふと思い出して巻く、

仕事中考えていたイメージを抱いて帰るとすぐ巻く、この孤独な作業に没頭する

手元を見つめつつ、意識は川をさまよっている

 

願いを込めて巻き終えた毛バリ、これがもし・・・鱒に拒否されたら・・・そう思うと頭の中は混乱してくる

 

そうなると、もう一本、もう一本と確信のないまま机の上の毛バリはその数を増していく

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